令和3年度 卒業証書授与式
令和4年3月24日
3月24日、温かな春風に誘われて校庭の桜の蕾がほころび始めた中、「令和3年度卒業証書授与式」を挙行し、卒業生を送り出しました。本来なら在校生や多くの地域の皆様とともに卒業を祝福するところですが、新型コロナウイルス感染症の影響下、規模を縮小して開催せざるを得ませんでした。しかし、卒業生の姿は立派でした。胸を張って入場する姿。卒業証書授与の呼名に対し、思いを込めて返事をする姿。堂々と卒業証書を受け取る姿。そのどれもがたくましく、頼もしさを感じさせるものでした。
私が卒業生と初めて出会ったのは、今から2年前、全国一斉臨時休業が明けた6月でした。姿が見えない未知のウイルスに対して誰もが手探りで、学校は予定していた行事や活動の多くを中止にしたり、形を変えて行ったりしてきました。しかし、コロナ禍における活動がどんなに制限されても、できないことを嘆くのではなく、代わりの活動に向き合ったり、自ら工夫して生み出したりしようとする姿を見せてきました。運動会では演技の振り付けを自分たちで考案したり、新しい応援の在り方を考え実行したりしました。修学旅行ではコロナ禍の奈良・京都一泊旅行を成功させようと、感染防止対策の徹底と思い出に残る旅行にするための工夫を見事にやり遂げました。「TEAM Bookers」という読書の楽しさを広げるためのチームを自分たちで立ち上げ、クリエイティブな活動を展開してきたのもこの学年でした。今年度からスタートした総合的な学習の時間「SDGsタイム」でも、先頭に立って積極的に活動を推進してきました。子供たちが見せた柔軟性、適応力、創造力に幾度となく感心させられました。式での姿は、こうした積み重ねによるものではないかと実感しました。
本校の学校の教育目標に、「たくましい」という言葉が含まれています。このたくましさとは、予測困難なこれからの社会を生きていくために必要なたくましさと捉えています。では、そのたくましさを備えるため、子供たちがどのような資質・能力を身に付ける必要があるでしょうか。OECD(経済協力開発機構)のEducation2030プロジェクトでは、2030年という近未来において子供たちに求められる資質・能力を検討するとともに、そうした資質・能力の育成につながるカリキュラム、学習評価などについて議論が重ねられてきました。その中で、「変革を起こす力のあるコンピテンシー(資質・能力)」として、「新たな価値を創造する力」、「対立やジレンマを克服する力」、「責任ある行動をとる力」の3つを挙げています。子供たちが、これらの資質・能力を身に付けるためには、さらにいろんな経験を積み重ねる必要があるでしょうし、いろんな学びを深めていく必要があると思います。中学校へ巣立っていった子供たちなら、きっとこれからの社会を生きていくために必要な資質・能力を身に付けるとともに、たくましく育ってくれると確信していますし、そう願っています。